読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

先日雪が降り積もった。私が今の住まいに越してきてから初めての積雪となった。元々住んでいた場所と電車で1時間程しか離れていないにも関わらず、気温は5℃程も違う。

雪の降った日、私は友人からの飲みの誘いを快諾し新宿へと繰り出した。
家を出た時、周辺には雪が積もっており、非常に歩きづらかった。どうにか最寄りの駅まで辿り着き、小一時間電車に揺られ、大迷宮新宿駅へ到着した。
いつも通り迷子になりつつようやく外に出ると、其処にはもう雪は殆ど残っていなかった。往来の激しい道には、片隅にすら雪は残っていない。しみじみと、都会では積雪の寿命は短いのだと感じさせられた。

子供の頃、雪が降るのはたまらなく喜ばしいことだった。童謡の犬のように庭を駆け回り、友人と雪合戦やカマクラ造りに勤しんだ。
大人になった今、雪というのは迷惑な物でしかなく、寒さを助長し、白に反射した陽は目に眩しく、足を取られぬよう背を丸めて慎重に歩く。麻痺した交通網、すし詰めの電車、怒鳴る客と怒鳴られる駅員。

正直に言えば、ある程度大人に近づけば、日常に雪が降ることを喜ぶ事は殆ど無い。子供の頃の喜びは何処かへ行ってしまった。ただ、まだ踏み荒らされず、排気ガスに汚されもしない積雪を、綺麗だなと思える心を失ってしまった人はそうそういないだろう。
友人とお開きにし、ほろ酔いで自宅へ戻る道すがら、そんな事を考えた。新宿から小一時間電車に揺られ、最寄りの駅に到着すると、まだ雪は多く残っていて、ここは人が少ないな、となんとなしに思った。