Rock_ozanari’s diary

ノージャンル。音楽系はまあまあ多いです。

当方Vo。他全パート募集。作曲は出来ませんが作詞は出来ます」は、見えてる地雷。

 
「当方Vo。プロ目指してGt.Ba.Drを募集します。本気なのでやる気のある方のみ連絡してください。作曲は出来ませんが作詞は出来ます」
 
やる気あんのかお前。
いややる気はあるんだろうきっと。だってやる気なかったらこんな文面書いた紙スタジオの壁に貼ったりしないもんな。でも好きなジャンルややりたいジャンルくらいは書けよ。
 
しばしば揶揄される上記の文面。実際にスタジオの壁やバンドメンバー募集掲示板を見たことがある人ならわかると思うが、普通にバリバリ現役で現在も使われている。募集している側は真面目なんだろうから、多分テンプレを使用しているのではなく、普通に自分の中から滲み出たものがこういう文面として形になるのだろう。どうにかしろ。
当方Voマンはみんな楽器は出来ないし、作曲も出来ないが、なぜか作詞は出来る。つまりきっと来てくれるであろう未来のメンバーに作曲を丸投げして、作詞と言う美味しい部分だけを掻っ攫っていこう。そういう感覚な訳だ。偏見だが、事実なら殺されても文句は言えない。
 
実際の所、ピンボーカルを希望することはなんら間違いではないし、作曲は出来ない(しない)というボーカルも大量に存在する。それ自体はなんら悪いことではないし、自分の苦手分野を人に任せて得意な事に専念するのは間違った選択じゃない。だが当方Voマンの奴らは、果たしてどうなのか。
 
性格の悪い検証、というよりは、普通に良いボーカルを探して俺(Gt)と友人(Dr)の2人で、一か八かで当方Voマンと連絡を取り、スタジオに入った事がある。あの時の俺たちは泥酔していたから、まともな思考力なんて持ち合わせちゃいなかった。連絡を取った三日後、俺と友人と当方Voマンは、池袋東口のスタジオにいた。そう、アニメイトの近くのあのスタジオだ。
 
スタジオに到着し、待合室で髪の毛が緑や紫のにいちゃん達に震えながら当方Voマンを待っていると、男が現れた。
 
髪の毛が長い小デブ。服装は何故かV系。身長は160cmくらいで年齢は32。なるほど。
いやしかし、音楽は見た目じゃない。ハートだと信じていた当時のピュアな俺たちは、とりあえずはスタジオへ、という事で入室。その間の軽い自己紹介。
 
当方Voマン「好きな音楽はマキシマムザホルモンです」
 
俺「好きな音楽はミッシェルガンエレファントです」
 
友「好きな音楽はレディオヘッドです」
 
なるほどこれは見えてる地雷だ。明るい未来がまったく見えない。上司に無理やり連れて行かれたキャバクラで俺の隣についたキャバ嬢が昔の彼女だった時のような絶望感。その話はもういいじゃないですか。もう俺の心をこれ以上抉らないで。
 
スタジオに入って音出し、俺とドラムが適当に合わせて遊ぶ。当方Voマンは突っ立ってる。さては貴様マイクの準備の仕方を知らないな。仕方ないからドラムがマイクをセットし、また俺たちはセッションを始める。そして当方Voマンがマイクを口に近づける。身体をくの字に折り曲げ、そして…ッッッ!!!予想はしていていたが…ッッッ!!!
 
「ヴォオオォォオオォ」
 
デスボイスが下手すぎる。死人でるぞ。だからデスボイスなのかなってちょっと納得するレベルで下手。予定調和の絶望。なんで俺たちはスタジオを6時間で予約したんだろうな。ていうか俺ら今クリーントーンで演奏してただろうが。しかも声量が無い。死にかけの蝉の方がまだ良い声で鳴く。
その後も普通に歌い始めるも、シンプルに歌が下手。どうしたお前。なんで俺たちはスタジオを6時間で予約したんだろうな。
 
当方Voマン「じゃ、曲作ろっか」
 
正気か?
 
しかし出会った手前、そしてスタジオを6時間とった手前、まあしかたないかと曲を作り始める。簡単に4コードくらいで並べて作る。
 
当方Voマン「ここでスラップして欲しいんだよね」
 
ベースいねえんだから黙ってろ。
 
当方Voマン「ここでデスボイス入れたいんだよね」
 
うるせえ。
 
当方Voマン「ここでシャウトしたいんだよね」
 
こんな曲作ったらシャウトする事になるのは客側だよ。
 
出来上がった奇跡みたいな糞曲を演奏する。
 
当方Voマン「俺たち良いバンドになれそうだね!」
 
ならねえよ。
 
みんな、見えてる地雷は踏まないようにな!
 
でも今回は俺たちも悪かった。せめて最初はコピーする曲を決めておくとか、スタジオの予約は2時間程度に留めておくとか、色々やりようはあった。当方Voマンとは計画的に疎遠になり、その後も俺たちは合計4人の当方Voマンと出会い、計画的に疎遠になった。詳細は面倒なので省くが、当方Voマンは基本的には良くない。カラオケで上手くても、カラオケとバンド演奏では勝手が違う。だからこういう事になる。
 
あとこちら側から言える事としては、せめて当方VoマンはYouTubeに最低限カラオケで歌ってるところくらいは投稿して、好きなジャンルくらいは記載しておいた方が良いと思う。そうする事で、色んな悲劇は防げる。ボブディランも「戦争が無意味だと知る為に何発の銃弾が無駄になるんだ」って歌ってた。当方Voが地雷だと知る為に、今まで幾度もの出会いが無駄になった。バンドメンバー募集というのはシビアな世界だ。バンド歴6年の俺から言える事はあまりないが、正直友達と組むかライブハウスで直接声をかけてバンド組んだ方が良い。
 
そんな訳で、俺がやっている。豚というバンドと歌詠み鳥というユニットのMV置いておくから観てね。それでは。