Rock_ozanari’s diary

ノージャンル。音楽系はまあまあ多いです。

虫を食べました


どうしてこんな目に遭わなくちゃいけないんですか?

不眠の夜勤明けの後用事があったのでそのままサイゼリヤでワインをそれはもうたくさん飲み、用事を済ませ友人と合流して3人でパイレーツオブカリビアンを鑑賞し、21:00。

もうだいぶ眠っていないので結構頭がおかしくなっていて、俺の口から「じゃあ飲みに行くか」という言葉が飛び出した。正気か?
8/10の朝6:00に起きて、今は8/11の21:00だぞ。ガストで突っ伏して眠った1時間半を除けばずっと起きてるのだけど、そこまで行くと人間は簡単に狂えます。むしろ元気。

基本的に俺は金が無いので、入る居酒屋を決めるポイントは「安い」「安そう」これに尽きる。
名前が既に安そうな居酒屋(チェーン)を発見した為、入店。こんなに薄利多売を全面に押し出したネーミングセンスってどうなんだよって感じの名前です。俺はそういうの好きだよ。

昭和テイストな店内はそれなりに賑わっていた。案内された席に着き、メニューを見た友人♂がカエルがあると口にした。

カエルって食べたことありますか?俺は何度か食べてるんですけど、ちょっとパサパサして味の薄い鶏肉って感じです。この店ってこういうゲテモノに分類されるもの置いてたんだなあと思いつつ、とりあえずコンビーフと餃子と食パンの耳揚げたやつとカエルを注文。俺はあまりメニューを見ないタイプの人間です。

飲み会は平和に進行された。俺たちは酒を飲み、飯を食い、仕事やめたくね?という話をしていた。いつもと何も変わらない、愛すべき日常。悲劇の始まりは友人♂の言葉であった。

友人♂「イナゴあんじゃん」
俺       「美味いよね」
友人♀「絶対に無理」

イナゴを絶対に無理、ゴキブリと変わらないと主張する友人♀にイナゴがいかにタンパク源として優れているか(本当に優れているかは知らない)を説き、同意を得る前にイナゴを注文。
なおもイナゴ食べたく無いと主張する友人♀に対し、友人♂がイナゴは味は佃煮だし確かに見た目は虫だけど美味しいから大丈夫、と主張を残し、トイレに去る。
ここが間違いだったのだが、俺は「確かにイナゴは見た目虫だけど余裕で食えるよ。さすがにイモムシ食えって言われたら発狂するけどね」

繰り返すが、俺はメニューを見ないタイプの人間である。
友人♀が断りなく店員を呼ぶ。「すいません、ざざ虫ください」

ざざ虫ってなに…?

友人♂がトイレから帰還し、ざざ虫が注文された事を知る。
「あれクソ不味いよ」
やめてよ。
「見た目とかもろイモムシだし」
やめてよ。
「なんか噛んだ時運が悪いとぷちゅって音するし」
やめてよ。
「変な汁が出てくるし」
やめてよ。

友人♀「そうなんだ、絶対食べたくないね」
お前なんで注文したんだよ。食べた事もない虫を注文できるバイタリティがすげえよ。

やがて運ばれてくるざざ虫とイナゴ。
ざざ虫マジかよ。もろイモムシじゃん。マジかよチェーン店の居酒屋。今の日本でここまでインスタ映えからかけ離れたメニューを提供するその姿勢はマジでロックだと思うけど、反骨精神じゃ飯は食えないんだぜ。ていうかこれ調理する厨房スタッフマジ可哀想。
ざざ虫がいつからあるメニューなのかは知らないけど、仮にバイトを始めた時には無かったとして、時が経って急に店長に「明日からざざ虫メニューに加わるからね」って言われたらもうそんなんバイト辞めるじゃん。冷蔵庫開けたらイモムシがぎちぎちに入ってる訳だよ。俺はこの居酒屋の厨房入った事ないけど、運んできてくれたお姉さんに聞いたから知ってんだよ。

俺「この虫冷蔵庫に入ってるんですか?」
お姉さん「入ってますよ」
俺「ギチギチですか?」
お姉さん「ギチギチです」

ちなみにお姉さんはざざ虫食べた事がないそうだ。懸命だと思う。考えても見てほしい。飽食日本で虫を食う必要が果たしてあるのか?無いだろ?なくせこんなメニュー。

普通に食べる勇気はないので、罰ゲーム式にする事に。なんか順番におじさんをタップして、ハズレ引くとおじさんが怒るという100%運要素しかないアプリをやる事に。説明下手か。とにかくおっさんが怒るんだよ。そういうアプリだ。わからなかったら調べてくれ。だいたい検索したら解決する世の中だ。

最初におじさんを怒らせたのは、友人♂だった。「マジかよ」って顔をしていた。凄いよ、表情から感情を読み取るどころか、文字が見える。顔面から「マジかよ」って文字列が滲み出てた。
彼はざざ虫を食べた事があるから、思い切りはまあまあ良かった。苦い顔をしてざざ虫を見つめ、口に放り込み、もっと苦い顔をした。苦虫を噛み潰したような顔って言い回しがあるけど、実際に苦虫を噛み潰してる。すげえ。実際に苦虫を噛み潰す日が来るなんて思って生きてないもんな俺たちは。
感想は至ってシンプルだった。

「まっず」

見た目が気持ち悪いならせめて美味しくあれよ。ナマコとかどう考えても食いもんじゃない見た目してるけどちゃんと美味しいのに、どうやらざざ虫はそうじゃないらしい。キモいし不味い。もうちょっと自分を見つめ直した方が良いんじゃないすか、ざざ虫さん。

次におじさんを怒らせたのは友人♀だった。
友人♀はそもそもがイナゴが無理なので、イナゴを食べる事に。人の嫌がる事はしたら駄目って小学校で習ったはずなのにな俺たちは。
嫌がる彼女に嬉々としてイナゴを食わせ、露骨にテンションが下がったのを見て爆笑する俺。あの時はごめんな。

そして次、いよいよ俺がおじさんを怒らせてしまった。もうすげえ怒ってる。怒りって他人事だとギャグだけど自分に向けられると恐怖なんですね。人間って失敗からしか学べないしね。

食べる勇気が出ない。

俺は本当に虫が無理で、中でもイモムシの類いは一番無理だから、凄く辛かった。見るのも嫌だ。友人♂が「俺が選んでやるよ!」と言いながらざざ虫を爪楊枝で刺す。それを俺に渡す。友人♀が「はやく食べて!」とヤジを飛ばす。ついさっきまでテンション下がってたのに元気になってんじゃねえよ。

とにかく、なるべく姿を見たくなくて遠ざけて持った。不思議だ。遠目で見ると、

俺「なんか昆布に見えるね」
友人♀「足生えてるよ」
やめてよ。
友人♀「うわ、触覚もある」
ぶっ殺すぞ。

もう昆布には見えなくなってしまったざざ虫。
ざざ虫よ、普通に生きてきただけなのに焼かれて食べたがってもいない人間に食われるお前の人生ってなんだ。家族だっていただろう。友達は。もしかしたら恋人だっていたかもしれない。俺には君を食べる事なんて出来ない。でも俺の対面に座っている友人ズが「はやくいけ!」とヤジを飛ばす。道徳の授業受け直せ。

友人♂「掛け声で行こう」
友人♀「なにがいい?」

お前らなんでそんなに楽しそうなんだよ。

掛け声が決定し、運命の時。

友人ズ「スリー!ツー!ワン!ゴー!シュウッ!!!」

ざざ虫 in 俺の口の中。
口の中にいつまでも居られるのも嫌なので、急いで噛む。

ぷちゅっ…

あっ、無理…

急いでビールを飲むが、味が消えなくてすぐに無くなる。一番近くにあったイナゴを口直しに食べる。ざざ虫の口直しにイナゴを食べるってどうなんですか?2017年の日本人として、それは?お母さん、貴女の息子は今池袋で虫を食べてます。

食感最悪。味も最悪。見た目も最悪。マカロンより不味い食べ物ってこの世界にあったんですね。ていうか君たちめっちゃ笑ってるけど夜勤明けの人間に対して罪悪感とかそういうの無いんですか。

虫の話を3000文字も書いて嫌な気持ちになってきたので簡潔に書くけど、その後も俺はおじさんを怒らせまくり、ざざ虫を食べまくった訳なんだけど、最悪な事に全員が避けて最後に取り残されたまるまる太ったざざ虫を俺が食べる事になった。そう、俺はまたおじさんを怒らせたのだ。

何匹も食べたらさすがに慣れるだろうと思いきや、マジで慣れないざざ虫。やっぱり虫と人間は相容れない。嫌悪感とか凄いしな。あいつらやっぱ宇宙から来てる。地球の生物とは別のベクトルで進化してる。間違いない。

ラストざざ虫、本当に太ってるんですよ。身がぎっしり詰まってる。爪楊枝刺したらわかるからね本当に。マジでデブ。ざざ虫界のマツコデラックス。世論とか切ってそう。

「スリー!ツー!ワン!ゴー!シュウッ!!!」

ぶちゅっっ……
じわぁ…

あっ、これ駄目なやつだ。明らかに汁が出てきてる。多分俺ちょっと泣いてたと思う。5年ぶりくらいに人前で涙を流した可能性すらある。
ビールを飲み干す。足りない。ラストオーダーの時間すぎてる終わった。友人♂の飲み物もうない。友人♀の飲み物を飲む。めちゃくちゃ甘ったるいななんだこれ。苦すぎと甘すぎの地獄のコラボレーション。味が喧嘩するってこういう事か。注文していたパンの耳を揚げたやつを食べる。救いはここにあった。凄いよパンの耳を揚げたやつ。文明開化の音がする。ぷちゅっとかじゃなくてサクっていうもん。すげえ。あと美味い。パンの耳を揚げたやつマジで美味い。文明すげえ。ありがとうパン。

ざざ虫、食べない方が良いです。本当に。薄利多売半兵衛はマジで二度と行かねえ。それでは。