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お洒落スポットが怖い

前提として私は所謂『非リア』に分類される生き物であるのだが、実は髪を切る時は床屋ではなく美容院に赴く。思春期に目覚めたあの日から。

美容院に赴き、まず目に付くこと。店員も客も、みんなお洒落である。一方私は…皆まで言うまい。
席に通され、こんな言葉を投げかけられる。

「今日はどんな感じにしますか?」

意外に困る質問である。どんな感じに。例えば私が強面だとしたら「パンチパーマ」と言えばパンチパーマにしてくれるだろう。しかし私が「パンチパーマ」といえば「お客さんwwそれじゃ奈良の大仏みたいになっちゃいますよww」みたいなリアクションをされるだろう。無論パンチパーマにするつもりは微塵も無いが、とにかくそうなのだ。

イケメンが「福山雅治みたいにしてください」といえばそうなるだろうが私が同じ事を言えばまずは整形をしろと言われるだろう。

つまり私のような人間には「今日はどんな感じにしますか?」という質問はハードルが非常に高いのだ。なので私はいつもこう言うしかないのだ。

「あっ、なんかいい感じにしてください」

なんかいい感じにしてください。
店員さん、いつもごめん。

そして世間話をしながらチョキチョキと切られていく訳だが、ああいう場所は目の前に巨大な鏡が置いてあるのが基本だ。自分の髪の毛が半分だけ短くなっていく様をしげしげと眺める機会は日常ではそうあるまい。

美容院の話は飽きたのでここまでとする。

服屋の話。

服屋の店員の接客が怖い。

そういえばこの時期に着る服が少ないな、と思い服屋に入り、明らかに自分では着こなせないようなデザインの服を眺めていると、奴らがやってくる。

「それいいっすよ。冬の新作っす」

誰だ貴様。

こうなる。「あっ、そうなんですか。冬の新作なんですか。それそれは…おめでとうございます?」

みたいな感じになる。なんというか側から見てると居た堪れない。なんだおめでとうございますって。

それは果たしてお洒落なのか?という奇抜でやかましいデザインの洋服を一通り眺め、結局無難で面白みのない洋服に落ち着く。

ああいった場所で気さくに店員と話し、長々と滞在できる人間と私はなにが違うのだろう。例えば私が顔もスタイルも良い人間だったのなら、堂々としていられるのだろうが。私の卑屈さは外見のコンプレックスによるものだろうか。それもあるだろうが、きっとそれだけではなく、性格に起因するものもあるだろう。なんにせよ、お洒落スポットに好き好んで滞在できる人間とは人種が違うのだ、と無理矢理に結論付ける。

そもそも私は小洒落たバーで高くて量の少ないパスタを食べて目に痛い色のカクテルを飲むより、サイゼリアの一杯99円のグラスワインを友人と共に店員にドン引きされるくらいの量を飲んだり、日高屋で餃子をツマミに冷酒やビールを飲んでいる方が好きだ。それが私の幸せなのだ。